イマ・スマック (Yma Sumac) のアンリリース(未発売、未発表)音源で思い出した、「最初のレコード入手の思い出」
もう随分前から私の手元にあったナット・キング・コール (Nat King Cole) の
ラッカー盤が、劣化する前に録音しておこうと、
他のラッカー盤を扱ったついで、
最近になって再生してみたら・・・前にも聴いたことがあったのを
思い出し、何と10年以上も前に録音してありました・・・
人の記憶って、そんなものですね(苦笑)
その中の1曲「アンフォゲッタブル」は、ネルソン・リドル楽団の
ストリングスが印象的な伴奏のものとは違うので、これは
すぐにアンリリースであると分かり、復刻CD(資料録音16)
の中に収録されてもらいましたけれど、
結局、このラッカー盤に収録の全部がアンリリース録音だった
ことが判明しました。
続いて出させてもらったのが、
イマ・スマックのアンリリース音源からの1曲でした。
上記リンクの“『資料録音(18)』イマ・スマックの世界初公開音源!編〜バラエティー女性ヴォーカルの楽しみ”
です。
これ自体は、『Legend of The Jivaro』という1956年に発表した
LPレコード・アルバムを企画した時に吹き込まれた
草案からの作品でしたけれど、
それら以外に、3曲分のラッカー・マスターがあるんです。
これも、イマ・スマック本人がそれぞれ演奏の前に
何か語っていて、内1曲は、
夫のモイセス・ヴィヴァンコとのデュエットでした。
私の記憶では、彼のギター演奏はあっても、
ヴォーカルを吹き込んでいるのは、
既発売レコードの中に1曲も無かったはずです・・・
これらのラッカー・マスター(コピーではなく、
ダイレクト録音の唯一のもの)と思われる作品は、
イマ・スマックが記念として吹き込んだもののようですが、
もともと世に出すつもりでなかった草案や
プロセス上の録音など(コピーと、マスターらしきものがある)も含め、
本当は、流通できるCDという録音物、
パッケージにしてお聴かせしたいと思っているのですけれど・・・
日本で初めて発売されたイマ・スマックのCDは、
1996年に東芝EMIから発売された
『ザ・ベリー・ベスト・オブ イマ・スマック』(上の写真)でした。
キャピトル・レコードに吹き込んだLPレコードより、
5つのアルバムの中から抜粋して25曲が収録されています。
解説(ライナー・ノーツ)は、音楽評論家の青木啓 先生でした。
イマ・スマックのデビュー・レコード(下の写真のSP盤)が、
1952年4月新譜として
キング・レコードから発売され、
それを馴染みのレコード店で聴き、びっくり仰天、感激し、
すぐにレコードを買ったという思い出話から始まっています。
1952年というと、昭和27年ですが、
定価350円というのも、当時の物価を考えたら、
それなりに高い値段だったように思いますけれど、
ずっと後に生まれた私などが
中古レコード屋で探しては、やっと購入していた
プレミアの付いた価格も、相当に高いものでした(苦笑)
青木先生が当時購入したSP盤(上記の写真と同じもの)は、
アメリカでも発売された単体のSP盤と同じ内容で、
キャピトル・レコードに吹き込んだ
ファースト・アルバム『Voice of The Xtabay』(8曲)からの1枚(2曲)です。
アルバムは、SP盤またはドーナツ盤が4枚組みになったものと、
ドーナツ盤サイズのEP盤2枚組、
そして10インチ(25センチ)の大きさのLPレコード、
それぞれのスタイルとして発売されました。
日本では、このアルバムは発売されていなく、
この次に作られたアルバムが、
10インチ・サイズのLPレコードとして発売されています。
私がこの世に来てから初めて接したイマ・スマックのレコードは、
インカ帝国の儀式に出てくる「太陽の処女」を演じたアルバム
『Legend of The Sun Virgin』(日本では未発売)でした。
21歳の時の7月後半、夏休み前の金曜日の夕方、
東京の新宿にあった「アーバン・レコーズ」という輸入中古レコード屋さんで
見つけました。手にとってみると、物凄い懐かしさのようなものが
込み上がって来て、不思議な感覚に包まれました。
まだ、この世ではイマ・スマックを知らず、
彼女の音楽も聴いたことすらなかったのに・・・?
聴いてみるために、このレコードが欲しいと思いました・・・が、
値段は5千円してました。
買えなくもなかったのですが、当時学生ですから、そんなに余裕もなく、
ずっと立ち尽くしたまま考え込んで、迷っていたものの、
結局諦めて帰りました。
家に着く途中の信号待ちをしている時に、
赤い夕日が目の前を照らしていて、このジャケットの絵柄を連想させ
「あぁ、欲しかったなぁ・・・」と、
頭から離れなかったのを今でも覚えています・・・(苦笑)
翌日の土曜日の夜中、何かの夢を見て、内容は瞬時に忘れているのですが、
目の前に残像のように、このジャケットの絵柄が浮かんでいました・・・???
まぁ、それだけ欲しいと思っていたのかな?と思って、
早速「アーバン・レコーズ」に買いに行こうと決意しました(苦笑)
確か開店は昼の12時で、その少し前くらいに着いたのですが、
ほぼ同時くらいに来た男性が私を見るや否や、
真っ先に店の入り口に行くものの、閉まっていたようで、
扉の前にこちらを向いて仁王立ちしたまま、私を鬼の形相で
睨みつけているのです・・・ コレクターという人種に、
こういった人はよくいますよね。
すぐに他人を威嚇するような(苦笑)
何も悪いことしてないのに、睨みつけられていて気分が悪いですから、
彼の後ろへ並ぶことはせずに、その辺をウロウロと・・・
何分かして戻ってくると、また彼は「こっちに来るな!」とばかりに
鬼の形相で睨みつけて来て・・・を何度か繰り返し、
結局12時30分頃になってオーナーが現れて入店できました。
一昨日、発見した『Legend of The Sun Virgin』があった場所に行っても
見つけられず、もう売れてしまったのかも???と思いながら
近辺を見ていても、先にいた男性が、
相変わらず私を睨みつけながらレコードを物色していて・・・(大苦笑)
もし売れちゃっていたら後悔するかな・・・?と思いながら、
店員さんに尋ねてみると「女性ヴォーカルの所にあるよ」と言われ・・・
一昨日、私は「ムード・ミュージック」のコーナーで、
それを見つけていたのに(笑)
見つけた1枚を手に取り、レジで会計を済ます一連の行為にも、
その男性はずっと私を睨みつけたまま、でした。
何か敵視されていたんですかね(苦笑)
そのように手に入れたLPレコード・アルバム
『Legend of The Sun Virgin』は、やはり素晴らしくて、
とても良かったです。
楽曲がミステリアスなこともあり、ここからイマ・スマックの世界へと
広がって行きました。彼女が残したレコードは決して多くありませんけれども、
未公開になった音源の断片でもさらに聴ける事になり・・・・
ありがたく思うとともに、せっかく残していただいた作品を
お聴かせしたいと考えてます・・・
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