インカ帝国最後の国王直系の子孫「イマ・スマック」のプロセス録音

イマ・スマック(Yma Sumac)は、
16世紀にスペイン人征服者によって滅ぼされたインカ帝国
最後の国王直系の子孫ということで知られた歌手です。

1927年9月10日にペルーのアンデス山中にある
イチョカンの出身で、音楽家のモイセス・ヴィヴァンコが
彼女の評判を聞いてリマへ連れ出し、
12歳でデビューしています。

その後、モイセス・ヴィヴァンコと結婚してアメリカへ渡り、
キャピトル・レコードで
レス・バクスターと作った10インチのLPレコード・アルバム
『Voice of Xtabay』(8曲入り)が
世界中でヒットし、有名になりました。

日本では約2年後の1952年に
SP盤(蓄音機でかける78回転のレコード)が
キング・レコードより1枚(計2曲)発売されただけでしたが、
1996年に東芝EMIがベスト盤としてCD復刻し、
青木 啓 先生が解説を書いています。
(余談ですが、青木先生にはTak Shindo氏の当時のことは
お話しを聞かせていただいたのですが、イマ・スマックについても
聞かせていただきたかったので残念です・・・3人とも既に故人)

でもこの復刻CDは、上記のオリジナル・アルバム
『Voice of Xtabay』の曲の順番も変え、全部で25曲の
コンピレーションになっていて、
さらに当時のレコードの音と随分違ってしまっています・・・
ということで、私は当時のオリジナル・レコード
(しかもファースト・プレスの原盤)から復刻を
させていただきました。

『インカ帝国の幻想』(EH-318) 1000円

『懐的音館』にて、お求めいただけます。
https://edison-international-records.com/product/318

レコード盤 特有のノイズはあるものの、
全然違った当時の質感が、感じられる録音のCDです。
ただ、この10インチのLPレコード『Voice of Xtabay』は
レス・バクスターが「磁気テープの切り貼り」、つまり
テープを部分的にコピーし「カット・アンド・ペースト」して
作ったと言っているように、全体的にあまり音が良くないのです。
1950年の話ですからね(苦笑)
キャピトル・レコードに残っているマスター・テープは
ダビングを繰り返しての完成品ということです。

しかし、代表曲の『Xtabay』を
制作途中で試し聴きするために作ったラッカー盤を
聴いてみると、これはもう世界中で発売されている
どの復刻CDよりも格段に音が良いのです!(笑)
ひょっとしたら、世界で一番かも知れませんが・・・?!

そのラッカー盤『Xtabay』の裏面です。

それはともかく、
昭和38年9月には夫婦で来日もしている彼女らが、
1957年に発表したアルバムがあります。

それは・・・南米の悪名高い
首狩り族「ヒバロ」をテーマにしたもの。
実際に彼らに会いに行って楽曲を教わったそうですが、
まぁ不気味なというか、ミステリアスな作品です(笑)

で、イマ・スマックたちが、このアルバムを
作るにあたって、演奏のプロセスに使った
「試し録音」が残されていました。
本当なら、捨てられてしまうものなのですが・・・

まずは、バック・グラウンドだけの部分。
イマ・スマックのヴォーカルを入れずに、
演奏とコーラスだけが行われました。

次に、イマ・スマックのヴォーカルを入れた
イメージとして、楽器を使って試し演奏をしています。
「こんな感じ」って、彼女に説明していたのでしょうね。

そして、
イマ・スマック本人が、吹込みに参加する訳ですけれど、
実は曲によって
数テイク吹き込んでいたのも判っています(笑)

とりあえず、この3パターンを説明しながら、
『ラジオのムード』レコード漫談(VMDJ-6) に
この1曲を復刻CDとして、収録させていただきました。
ここでは試聴なので、少ししかお聴かせできませんが・・・・
御興味のある方は、ぜひお求めになってください。

『ラジオのムード』レコード漫談(VMDJ-6)
お求めは、『懐的音館』でお願いします。
https://edison-international-records.com/product/vmdj-6


(この記事は、以前のブログサイトに掲載していたものです)