インカ帝国最後の国王直系の子孫「イマ・スマック」のプロセス録音
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2020/11/Yma-Sumac.jpeg)
イマ・スマック(Yma Sumac)は、
16世紀にスペイン人征服者によって滅ぼされたインカ帝国
最後の国王直系の子孫ということで知られた歌手です。
1927年9月10日にペルーのアンデス山中にある
イチョカンの出身で、音楽家のモイセス・ヴィヴァンコが
彼女の評判を聞いてリマへ連れ出し、
12歳でデビューしています。
その後、モイセス・ヴィヴァンコと結婚してアメリカへ渡り、
キャピトル・レコードで
レス・バクスターと作った10インチのLPレコード・アルバム
『Voice of Xtabay』(8曲入り)が
世界中でヒットし、有名になりました。
日本では約2年後の1952年に
SP盤(蓄音機でかける78回転のレコード)が
キング・レコードより1枚(計2曲)発売されただけでしたが、
1996年に東芝EMIがベスト盤としてCD復刻し、
青木 啓 先生が解説を書いています。
(余談ですが、青木先生にはTak Shindo氏の当時のことは
お話しを聞かせていただいたのですが、イマ・スマックについても
聞かせていただきたかったので残念です・・・3人とも既に故人)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2020/11/CD-Xtabay.jpeg)
でもこの復刻CDは、上記のオリジナル・アルバム
『Voice of Xtabay』の曲の順番も変え、全部で25曲の
コンピレーションになっていて、
さらに当時のレコードの音と随分違ってしまっています・・・
ということで、私は当時のオリジナル・レコード
(しかもファースト・プレスの原盤)から復刻を
させていただきました。
『インカ帝国の幻想』(EH-318) 1000円
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2020/11/CD-318.jpeg)
https://edison-international-records.com/product/318
レコード盤 特有のノイズはあるものの、
全然違った当時の質感が、感じられる録音のCDです。
ただ、この10インチのLPレコード『Voice of Xtabay』は
レス・バクスターが「磁気テープの切り貼り」、つまり
テープを部分的にコピーし「カット・アンド・ペースト」して
作ったと言っているように、全体的にあまり音が良くないのです。
1950年の話ですからね(苦笑)
キャピトル・レコードに残っているマスター・テープは
ダビングを繰り返しての完成品ということです。
しかし、代表曲の『Xtabay』を
制作途中で試し聴きするために作ったラッカー盤を
聴いてみると、これはもう世界中で発売されている
どの復刻CDよりも格段に音が良いのです!(笑)
ひょっとしたら、世界で一番かも知れませんが・・・?!
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2020/11/kyouyu-act2.jpeg)
それはともかく、
昭和38年9月には夫婦で来日もしている彼女らが、
1957年に発表したアルバムがあります。
それは・・・南米の悪名高い
首狩り族「ヒバロ」をテーマにしたもの。
実際に彼らに会いに行って楽曲を教わったそうですが、
まぁ不気味なというか、ミステリアスな作品です(笑)
で、イマ・スマックたちが、このアルバムを
作るにあたって、演奏のプロセスに使った
「試し録音」が残されていました。
本当なら、捨てられてしまうものなのですが・・・
まずは、バック・グラウンドだけの部分。
イマ・スマックのヴォーカルを入れずに、
演奏とコーラスだけが行われました。
次に、イマ・スマックのヴォーカルを入れた
イメージとして、楽器を使って試し演奏をしています。
「こんな感じ」って、彼女に説明していたのでしょうね。
そして、
イマ・スマック本人が、吹込みに参加する訳ですけれど、
実は曲によって
数テイク吹き込んでいたのも判っています(笑)
とりあえず、この3パターンを説明しながら、
『ラジオのムード』レコード漫談(VMDJ-6) に
この1曲を復刻CDとして、収録させていただきました。
ここでは試聴なので、少ししかお聴かせできませんが・・・・
御興味のある方は、ぜひお求めになってください。
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2020/11/CD-VMDJ6-1.jpeg)
お求めは、『懐的音館』でお願いします。
https://edison-international-records.com/product/vmdj-6
(この記事は、以前のブログサイトに掲載していたものです)