「紫雲荘」橋本徹馬 氏による『開経偈』『般若心経』『観音経』そして『お経の解説』が聴ける、昭和38年の貴重な肉声
一言で表現すれば、生きるのも大変な時代・・・と、
思うものの、それは現在に生きる私たちが感じるものですが、
昔であっても、どの時代でも生きるのは大変なことのようです。
その中で、昔の人がお経を通して伝えていることも、
また参考になると申しますか、
学べるところは学ばせていただきたいというのが私の考え方です。
しかしながら、それは「人の生き方に関する」考え方を
自分に置き換えて、自分にとっての学びがあれば、
その部分だけを捉えるという意味で、
全部を肯定するものではありません。
また、単なる金儲けになってしまった宗教組織にも
全く関心が無いということを初めにお断りしておきます。
さて、写真は橋本徹馬(ハシモト テツマ)氏、
御本人が、3つのお経と、その解説を吹き込んでいる自主制作のレコードです。
全ての宗派で用いられる『開経偈』(かいきょうげ)は、
読経をする前に称えるお経です。
挨拶とか、お経の内容に関しての決意、願い、覚悟とか、
拝受することの御礼といったような意味の儀式的な感じ・・・でしょうか。
有名な『般若心経』
(摩訶般若波羅蜜多心経、まかはんにゃはらみつたしんぎょう)は、
宇宙の摂理・・・この世にある物質的なものも全て「空」という考え方です。
色即是空、空即是色という意味で、橋本徹馬 氏の例えを訳せば、
この世に生まれて来る前のあなた様は「空」の世界にいて、
両親の因縁によって、この世に誕生します。
目に見えて、触って、聴こえて、匂いや舌、肌で感覚を味わうものの、
人間の本質は霊のため、それも「空」の世界。
あなた様の肉体や、環境も一次的なものに過ぎず、不変ではありません。
そのうち、この世の因縁(寿命)が尽きれば、あなた様は
再び「空」の世界へ帰って行きます・・・
宇宙の摂理、仕組みがわかれば、老いも死にもとらわれなくなり、
悟りの境地を得る・・・といような、ここで簡単に表現できませんけれど、
実際に「わが身」として取り入れるには、
なかなか難しい内容に思います(苦笑)
そして『観音経』(妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈、
みょうほうれんげきょう かんぜおんぼさつ ふもんぼん げ)の、
全体の終わりの方の3分の1ほどが収められています。
観世音菩薩さまを簡単に表現してしまえば、
大宇宙に、もともとある大愛、大慈悲のエネルギーを
わかりやすくするために、(上品な女性のような)仮の姿とした
呼び方です。
それで、この「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と称え、
大宇宙の波動と一体になれば、自らに起こっている
苦難を免れるといった意味があります・・・が、
本来の意味は、自分自身が救われたいから称えるということでなく、
自身が観世音菩薩となって、
他の人々を苦難から救うということだそうです。
現在は、日本の政治家(特に自民党、公明党の議員)や、
世界の主導者をはじめ、
日本国民でも、自分の利益しか考えなくなった人間ばかりに
なってしまいましたから、そのような観音精神を持つ人間が、
一体どれだけいるのだろうか?と思いますけどね・・・・
このレコードに自らの肉声で吹き込んでいる、橋本徹馬 氏は、
明治23年(1890年)2月4日の愛媛県生まれ。
政治活動家として色々活躍され、大正13年に「紫雲荘」を設立、
機関誌を通して、政治評論を発表していました。
昭和46年9月に紫雲山地蔵寺の初代住職となられたそうです。
平成2年(1990年)5月19日に100歳で亡くなられています。
橋本徹馬 氏によるレコードでの説明から、
一部を抜粋して御紹介させていただきます。
「皆さんも平生 御自分だけが救われようとせず、
多くの人々のためになるように=ためになるようにと働いて、
その間に御自分の生活が立ち行くようにすれば、それで多くの人が
救われるばかりか、御自分も病まず、貧せず、悩まずという事になって、
菩薩行を実践しているという事になるのであります。
そのような人が多くなれば、大調和、大繁栄の世の中になるのであります。
(橋本徹馬 氏のレコードより)」
橋本徹馬 氏の多数、出版なされている書籍の中での一冊、
『人生を楽観すべし』を写真に撮りました。
この御著書は、昭和24年に出版されたものの、この読者が多く
「この書によって得るところが多大であることを、感謝される人が絶えぬ」
とのことで、再販され続けているそうです。
私の手許(上の写真)のは、昭和62年1月の改訂23版発行とあります。
全部読んでみて、話のもとが昭和24年当時であることと、
特に近年には時代も変わっているため、
背景として内容が古いことは否めないですが、
あらためて気づかされることもあった良書です。
そして、人間の生き方として本質的な部分は、現在も全く
変わっていないと思います。
このレコードにて流れて来る、昭和38年・・・
73歳頃の橋本徹馬 氏のお声が聞けて、どんな感じなのかと、
お人柄を想像しておりました(笑)
ここでお聴かせできなくて恐縮ですが、
録音が残っていたことに感謝です・・・
© 2024 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)