キャピトル・レコードの忘れられたアルバム〜『Songs Without Words』と謎の作詞コンテスト(後編)

採用された人への賞品は、

1:1000ドルの先行印税
2:出版契約
3:キャピトル・レコードのアーティスト達による楽曲録音

という項目が提示されていました。

1949年の作詞コンテストから約12年が経った頃・・・
キャピトル・レコードは、
1961年に再び作詞コンテストを開催しました。

キャピトル・レコードから1961年に発売されたLPレコード『Songs Without Words Contest』

今度は10曲、つまり10名もの作曲家に声をかけて
楽曲を提供させ、同名タイトルのLPレコード
『Songs Without Words Contest』を作りました。
ただし、今回の賞金は、前回の半分の500ドルに下げられています。

先の1949年のSP盤アルバムは、
通常の他のアルバムより約20倍もの売り上げがあったとされ、
今度の作詞コンテストのLPレコードでも、
同様の売り上げがあることと見込まれていたそうです。

しかしながら、実際にその1949年の時に応募した人々は、
再び、キャピトル・レコードによる作詞コンテストの
話を知れば、きっと思い出すのではないでしょうか。

1961年度の作詞コンテストのレコードには、
このような内容が書かれています。

(日本語訳にて要約)

簡単!楽しい!有名になれるかも!?
アメリカのトップ作曲家によるメロディーに
歌詞をつける絶好のチャンス!

ポップス、カントリー&ウエスタン、
ロックンロールの3ジャンルのメロディーが
収録されており、好きなジャンルに作詞して応募可能。
作詞で最も難しい「作曲家との出会い」の問題を解決!
このアルバムで10人の一流作曲家とコラボできる。
既に、このメロディーにインスピレーションを
受けた歌詞が収録されているので、参考にできる。

受賞者には豪華特典!
1:500ドルの前払い報酬(出版権に対する支払い)
2:追加の作詞印税を受け取る契約
3:受賞曲は楽譜として出版
4:各カテゴリーから最低1曲(計3曲以上)が
  キャピトル・レコードのアーティストによってレコーディング

応募方法
アルバム収録のメロディーを聴く
どのカテゴリー(ポップス、カントリー&ウエスタン、ロックンロール)に
応募するか決める(すべて応募も可)
アルバムに記載された公式ルールをよく読む(レコード販売店でも入手可能)
アルバムに付属の公式応募用紙を使用(または販売店で追加入手可)
夢の作詞家デビューを目指して、今すぐチャレンジ!

そして、10人の作曲家は以下の人物です。
今回は顔写真がありません。

1961年度のLPレコードは、書類が入っているのではなく、
レコードを入れる袋に、ルール説明を記載、
裏面に応募のための項目があります。
こちらはレコードを入れる袋の裏面。下に切り取って応募する部分があります。
切り取ってしまったら、LPレコードは、むき出しでカバーに入れなければならず・・・?
販売店から新たに袋をもらわないと困りますよね・・・

この記事にて御紹介している
1961年度の作詞コンテストのLPレコード・アルバムも、
経緯の想像の楽しみと共に、ぜひ御堪能いただきたいと思い
復刻CDを作らせていただきました。

『資料録音(12)』キャピトル・レコードのコンテスト続編と知られざる広告(XP-10012)

そして、この記事の「前編」で御紹介している
貴重なコマーシャル・レコードから、
男性歌手によるハミングの部分と、
この「後編」記事でも触れております
『Songs Without Words(言葉のない歌)』
から、ポール・ウエストン作曲のものに詞が付けられ、
ポール・ウエストン楽団による演奏をバックに、
彼の奥さんであるジョー・スタッフォードが
歌っている稀少録音
も含めました。

© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)

コメントを残す