インカ人の歌 〜 アメリカと日本の2種類のLPレコードに見る当時のムード(イマ・スマック)

幻の古代文明から伝わる、かつて行われていた
インカ人の生活に関する歌・・・
その音楽は「インカ・ターキ (Inca Taqui) 」。
つまり、「インカ人の歌」のことです。
歌っているのは、筆者のサイトや復刻CDでも
度々御紹介しているイマ・スマック (Yma Sumac) という、
インカ帝国の皇帝アタワルパ直系の
お姫様として有名になったアーティストです。
インカ人の生活の中で使われ、
古来伝承されて来た歌を
彼女独特の表現に、ケチュワ語で歌いあげています。

Yma Sumac & Moises Vivanco
Capitol Records (L-423)
『Inca Taqui』
オリジナル(原盤)LPレコードは、
1953年にアメリカのキャピトル・レコード (Capitol Records) より
発売されました。10インチ(25センチ)盤で、
8曲入っています。(上の写真)
まだこの頃は、アメリカでもポピュラーのLPレコードは、
10インチの大きさが主流でした。
1954年に製作された
アメリカ映画『インカ王国の秘宝』(原題:Secret of the Incas)では、
イマ・スマックが出演し、劇中で歌うことになり、日本でも
注目されはじめました。
日本では、1957年2月から映画が
公開されることが決まったことから、日本の
キング・レコード (King Records) が、
先に発売されていたアメリカのキャピトル・レコードの
『Inca Taqui』日本盤の発売を企画しました。
その時に、キング・レコードの人が
企画する時に作った見本があります・・・
(下の写真)

製品版は、LZE-5005 として、
アメリカのキャピトル・レコードと同じジャケット(表紙の絵柄)で発売されました。

左側にレコードを入れるビニール付きのフォルダーになっています。
この写真では、単体のスリーブ(袋)に入れていたものを上に乗せています。
右側には、参考資料としたのか、映画公開で
イマ・スマックが紹介されている新聞記事が貼り付けられています。

出来上がったLPレコードは、『インカの歌』と題され、
1957年に発売されていますが、
この時、日本のキング・レコードでは、あることが起こり・・・!!
日本のキング・レコードによる『インカの歌』は
すぐに廃盤となり、そのまま東京芝浦電気 (Toshiba Records) が
同年1957年に受け継ぎ、表紙(ジャケット)を
公開中の映画『インカ王国の秘宝』の一場面に
変更して発売しました。(下の写真)
そして、この日本のキング・レコード、東京芝浦電気、
両方で作られた「レコード盤」は、共に当時ならではの
「ある作り」になっているのも特徴で、詳細は
別の機会に委ねますが、面白い発見があります。

イマ・スマックのLPレコード『インカの歌』
東芝レコード (OLP-1 )
ちなみに、この頃は、イマ・スマックではなく、
「ユーマ・スマック」という表記になっています。
アメリカのキャピトル・レコードが、
自社の専属アーティストを紹介する(この頃の)録音では、
「イーマ・スマック」と言っているように、
筆者には聞こえます。
イマ・スマックの残したレコードの中で、
『Inca Taqui』は、そんなに奇抜な作品ではありませんけれども、
インカ人の独特なムードを演じる、
珍しいタイプの作品として、筆者は、
当時の原盤レコードの味をお楽しみになれるよう
復刻CDを御用意しました。

(It cannot be viewed from outside Japan.)
また、イマ・スマックは、
キャピトル・レコードに所属していた時代に吹き込んだ、
案外多くのアンリリース(未発表)録音があり、
謎を秘めたアーティストでもあります(笑)
そのいくつかは、お聴かせ出来るよう復刻CDにて
発表させていただいております。

(It cannot be viewed from outside Japan.)
以下の記事にもあります。

ここにも、イマ・スマックの貴重なアンリリース録音が・・・あります。
(It cannot be viewed from outside Japan.)

(It cannot be viewed from outside Japan.)
© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)
English Summary:
“Inca Taqui” (Capitol Records, 1953) is a rare 10-inch LP by Yma Sumac, the legendary Peruvian singer known as a descendant of Inca emperor Atahualpa. Sung in Quechua, the album reflects traditional Inca songs with her unique vocal style. In 1957, it was issued in Japan as Inka no Uta by King Records, and later reissued by Toshiba Records with a new cover from the film Secret of the Incas. Both Japanese pressings are highly collectible examples of 1950s vinyl. Keywords: Yma Sumac, Inca Taqui, rare LP, Japanese pressing, Andean music.