ミステリアスな曲から、レコード・ジャケット(表紙)の絵柄を想像した時間〜『サッチ・ア・ロング・ナイト』&『プティット・フルール(小さな花)』ボブ・クロスビー
筆者が中学生の頃(1984年)のことです。
母方の祖母の家に行く途中に、関内(横浜市)にあった
中古レコード屋「ディスクプラザ」へ寄りました。
「ムード」と書かれた、インデックスのある
シングル盤(ドーナツ盤)の・・・
所謂ムード・ミュージックや、インストの類のレコードが
入っている場所で、このレコードを見つけました。

日本盤なので、あるはずのジャケット(表紙)が無く、
盤のみの状態で、250円のプライスカードが付いていました。
曲名は『プティット・フルール〜小さな花』。

曲は知っていたものの、アーティスト名の(英語で書かれた)
“Bob Crosby and The Bob Cats” は知りませんでした。
本当は、ちゃんとジャケットの付いた状態のものが
欲しかったのですが、この店でジャケット付きの古いものは
大抵2000円以上、付けられると思い、
とりあえず聴ければ良いかと買ってみました。
さっそく、祖母の家の2階のステレオで聴いてみると・・・
『サッチ・ア・ロング・ナイト』という曲に
引っかかってしまいました(笑)
「何これ・・・??」
2分にも満たない曲で、
ほとんど同じフレーズ(タイトルの言葉)の繰り返しなんですね(笑)
それでも何か不思議な魅力があって、筆者の中では面白い演奏でした。

日本盤のレコード番号で、その下にあるカッコ書きの数字が、オリジナル(原盤)の番号、
末尾の「A」というのがA面の意味です。
で、レコード盤をよく見ると、A面が『サッチ・ア・ロング・ナイト』なんですね。
ジャケットの無い、盤だけの、このレコードを眺めながら、
一体どんな絵柄がジャケットに書かれていたのだろうか?・・・と、想像しました。
同じフレーズを繰り返して終わる、『サッチ・ア・ロング・ナイト』という
短い曲の情景を絵にすると・・・???
そう思ったものの、ジャケット付きの、このレコードに出会うこともなく、
筆者にとっては、ミステリアスなジャケットの絵柄の想像だけが、
ずっと残っていたのです(苦笑)
それから6、7年位は経った頃でしょうか。
下北沢(東京)のいくつかのアンティーク・ショップが
テレビで紹介されていたのを見ていて、古いレコードも置いてあると
言っていたので、日曜日に行ってみることにしました。
何と!そのアンティーク・ショップの壁に、
このレコードのジャケット付きのものが壁に貼られ、
売られていました!・・・ 値段は6500円。

6500円で売られていた時に見たのと同じもの。
「あぁ、小さな花の曲名の絵柄になっていたのか・・・」と思う一方、
この値段(6500円)には躊躇しました(苦笑)
この少し前に “ミスター・ドーナツ” でアルバイトをさせてもらっていた時の
時給は600円ほどでしたから、この時の筆者(祖母の介護を経て、
学生の身分だった)にとっては10時間働いても買えない金額・・・
せめて、『サッチ・ア・ロング・ナイト』という曲の解説でも知りたいと
思うものの、壁に貼ってある状態のため、
買わないのに店員さんに剥がしてもらうのもなぁ・・・と、諦めました。
6500円は出せない金額では無いものの、
聴ける状態の盤は既にありますから、それなら他の中古レコードに
買いたいのもあるため、頭の隅っこには「欲しい」と思いつつ、
中古レコード屋で、このレコードがもっと安い値段で
見つけられないかと考えながら・・・・
しかし、後にも数年間は見ることがありませんでした。
そして、やっと見つけて入手してますが、
どこの中古レコード屋さんだったのか、よく覚えていないのですが、
東京都内の何処かの中古レコード屋で、値段は800円位だったと思います(笑)

日本盤では『プティット・フルール(小さな花)』がA面なのです。
すると他の絵柄のジャケットも見つかり、面白いので
次々に購入してしまいましたが、こんなに出ていることを考えると、
当時、日本では売れたレコードだったのでは?と推測してました。
ただ単に、筆者の巡り合わせがなかっただけ、なのだろうと・・・





1959年1月に発売。
盤のみの日本盤レコードから始まって、ジャケット違いの日本盤が5枚!
最後に、アメリカのオリジナル盤(原盤)を1枚追加で得ました(苦笑)
後に調べてみれば、
このアーティスト(ピーナッツ・ハッコーとボブ・クロスビー&ボブ・キャッツ)の
『プティット・フルール(小さな花)』は、
昭和34年に日本で大ヒットし、当時のラジオでは
ヒット・チャートに上がっていたことが分かりました。
でも、アメリカでは全くヒットせずに、日本だけのヒットであったようです。
しかもヒットしたのは、アメリカのオリジナル盤では
B面だった『プティット・フルール(小さな花)』の方で、
『サッチ・ア・ロング・ナイト』ではないんですね(笑)
筆者としては、この単純明快、でもミステリアスな
『サッチ・ア・ロング・ナイト』の方が、魅力的な演奏に思いますので、
制作したドット・レコード(Dot Records)が
A面にしたのと、筆者も同じ価値観だったのでしょう。
もし、この『サッチ・ア・ロング・ナイト』のイメージが
ジャケットに描かれていたのなら、
一体どんなイメージだったのだろうか?と、
ひとりで勝手に想像していた時の物語でした(笑)
『サッチ・ア・ロング・ナイト (Such a Long Night) 』を
作曲(作詞も)している、ビル・ステグマイヤー(Bill Stegmeyer)は、
ジャズ・クラリネット奏者であることが分かりました。
ボブ・クロスビーによる、このレコードの演奏では、
テナーサックスと、ヴォーカル・コーラスをメインにしています。
追記:
本来は、この録音をお聴かせしたいのですが、音楽にも著作権があります。
ですから当サイトでは、動画サイトにあるような、
違法にアップされている音源(違法音源)をリンクして
お聴かせすることはありません。
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