発売に「香林坊山蓄」と掲載された自主制作盤レコードの話
東芝(東芝音楽工業株式会社)のレコードでも、
自主制作盤は、一般に市販されたものとは違う、
特有のレコード番号がつけられています。
一般市販品のレコードではないことを
判別する材料として、一番見分けやすい
方法でもあります。
昭和30年代末頃のものと思われる、
自主制作にて作られた東芝レコードの
レコード・ジャケットの裏側を何気なく見ていたら、
「香林坊山蓄」というのが目に入って、
一体これは何だろう?と、思ったのです(笑)

この写真(上)が、その部分です。
見開きのレコード・ジャケットの外側、
そして裏側の左端に当たる部分です。
1行目には「?」のモザイクをかけましたが、録音の中身を
決めた組織名が書かれています・・・推測してみてください。
2行目は、このレコード盤をプレスしたり、
レコード・ジャケットを印刷した意味の製作、
東芝音楽工業株式会社。
そして3行目に、発売として「香林坊山蓄」が書かれています。
会社名?としては変ですし、人の名前でもなさそうだし、
何かの組織名なのか?・・・・
今は便利なインターネット検索があります。
早速、Google検索の窓に入れてみると・・・
最初に「AI による概要」が出てきて

>「香林坊山蓄」という情報は見当たりませんでしたが、
>「香林坊(こうりんぼう)」は石川県金沢市中心部に
>位置する地域・町名で、隣接する片町とともに
>金沢を代表する繁華街です。
>歴史的には、比叡山の役僧「香林坊」に由来し、
>向田兵衛という薬種商が娘婿にしたことに始まるとされています。
だそうです。
なんだ、「香林坊山蓄」は見当たらないのか・・・
Yahoo!検索でも「AIアシスト」があるので、以下のような
結果が出てきました。

・・・・。
「香林坊山蓄」というのは、
「香林坊」という繁華街の名前と
「山蓄」というレコード屋の名前を一緒にしていた、
ということ、だったのでしょうか(苦笑)
「香林坊(こうりんぼう)」は、金沢では有名な繁華街だったんですね。
筆者はいままで知りませんでした・・・
「山蓄(やまちく)」は、「山田蓄音機店」から始まった
SP盤時代からの老舗だったとのこと。
でも、既に「倒産」とありますね・・・
「香林坊」も「山蓄」も、御存知の方には
言わずもがな、だったでしょうけれども、筆者には
「???」と思った、ある意味で新鮮な響きの文字列でした(笑)

結果として、この自主制作のドーナツ盤レコードは、
ある組織が企画、制作して、東芝レコードに製造を委託し、
「山蓄(ヤマチク)」という老舗レコード屋で
売られていた現物だったことが分かります。
ですから、きっと一般のレコード屋では
手に入らなかった品物ということになりますね。
なぜ、東芝レコードに製造を委託したのか、
なぜ、山蓄が販売したのか?
それは当事者でないと、分からないことになりますが、
もう60年くらいは経ってるでしょうから・・・
このレコードを眺めながら、そんなことを思った
ひと時を御紹介いたしました(笑)
石川県の金沢市は、高校生の時(1980年代後半)に
母方の祖母も一緒の家族旅行で
一度行っております。懐かしいなぁ。
© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)