日系2世のアメリカ人音楽家、タク・シンド (Tak Shindo) 〜 ジャズでもムード・ミュージックに 〜 そして知られざる日本録音のレコード
Title: Tak Shindo – A Nisei Composer Who Bridged American Exotica and Japanese Sound
[English Summary]
Tak Shindo (1922–2002) was a second-generation Japanese American…
日本人の両親のもとに、アメリカのカリフォルニア州、
サクラメントにて生まれたタク・シンド (Tak Shindo)
(生:1922年11月11日〜没:2002年4月17日)
は、主に1950年代から1960年代にかけて
ロサンゼルスで活躍していました。
エジソン・インターナショナル・レーベルから
ファースト・アルバム『Mganga!』を出し、
キャピトル・レコードからも
2枚のLPレコードを出しております。
それから、他のレコード会社からも、
複数枚のLPレコードを出した後に、
UCLA大学などの教授として
教鞭をとっていました。
そのタク・シンド (Tak Shindo) は、
巨大な3面スクリーン方式のシネラマ映画
『世界の七不思議』の音楽の一部も担当されていて、
これを調べていた筆者は、直接に彼から詳しい情報を
得ることができました。
そして、後に当時のシネラマ・プロダクションの
スタッフだった人達からの証言も得ることができ、
余談ですが、これは冊子にもまとめています・・・
『レコードのムード』冊子編 Vol.1(CD付き)
~ヴィンテージ・レコードと、クラシックな映画音楽のディープな世界~
https://edison-international-records.com/product/7501
(It cannot be viewed from outside Japan.)
タク・シンド (Tak Shindo) のファースト・アルバム
『マガンガ! (Mganga!)』は、ミステリアスな作品ですから、
1990年代に流行ったエキゾチカ(風変わりな音楽)としても
見直された時期がありました。
この『マガンガ!』というアルバムについても、
色々御本人とお話をさせてもらった思い出があります。

上記のLPレコードは、当方復刻CDにても
作らせてもらっています。(以下のリンク)
https://edison-international-records.com/product/700
(It cannot be viewed from outside Japan.)
キャピトル・レコード (Capitol Records)からも
アルバムを出した後に、
マーキュリー・レコード (Mercury Records) の
幹部になったクインシー・ジョーンズ (Quincy Jones) から、
オリエンタルなジャズのアルバムを依頼されて作った
『Far East Goes Western』は、日本でも
当時(昭和38年2月に)発売されました。

でも、
ジャンルは「ムード・ミュージック(ムード音楽)」として
発売されているのです・・・・
日本では、一般的な歌のない演奏ものを
ムード・ミュージックとして扱うことが多いので
慣習みたいなもの、かも知れませんね(笑)

ところで、タク・シンド (Tak Shindo) は、
何度か、日本にも来ていて、その度に
日本で吹き込んで作ったレコードが複数枚あります。
その何枚かの日本録音のLPレコードの内、
1枚だけは、アメリカでも発売されました。
これは、以下の記事で御紹介しています。
他にシングル盤をLPレコードにまとめたものが
アメリカで1枚発売されています。
それ以外は、当時日本で発売されたまま、
年月に埋もれてしまいました。
欧米の人達には、知りようもありませんよね・・・
タク・シンド (Tak Shindo) が亡くなって、
しばらくしてから、氏の奥様が、タク・シンドの
作品集として、レコードになった作品を残しておきたいと、
復刻CDの制作を望まれました。
晩年のタク・シンド (Tak Shindo) と、筆者は
交流を持たせていただいていたので、
オーディオパークという会社経由で
タク・シンドの作品集を複数枚のCDにて、
作らせていただくことになりました。筆者が具体的に
お話をいただいたのは、2012年12月のことです。
氏が日本で録音したものには、ビートルズ作品などもあり、
和風と洋風で、面白い演奏がありましたけれど、
思いがけず、大人の事情?が発生し・・・
・・・というのは、誤解を持たれると困るので、
はっきり書くと、日本のあるレコード会社の悪意に晒されたのです。
筆者は話し合いを重ね、やっと制作が出来るように
お膳立てをしましたが、その「レコード会社」の
昔の事情を知るオーディオパークのオーナーが
彼らの不義理に納得されず、激怒されてしまい、
結局、復刻CDの制作は、中止になってしまいました・・・
奥様には、本当に申し訳ないことをしたと、
今でも心を傷めるばかりですが、筆者には
どうしようもありませんでした(涙)
その昔の事情(アーティストとレコード業界の話)は、
筆者も複数の人達から聞いてはおりますが、
書籍などには、わざわざ残さないような話なので
あくまで「話」として残っても、時間とともに
当事者も亡くなり、消えて行ってしまうのでしょうね。
※深い内容は書けないので、推測してください・・・

本来なら全4枚の企画だったのですが、上記の事情で、この写真の1巻目のみになり、
製品化したものの、
アメリカに住む氏の一族に配られただけになりました(幻の未発売品)。
© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)
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[English Summary]
Tak Shindo (1922–2002) was a second-generation Japanese American musician born in Sacramento, California. He became known in the 1950s–60s Los Angeles scene for his unique blend of traditional Japanese instruments and American mood music. This article introduces his early exotica album Mganga! released on Edison International, his Capitol and Mercury LPs, and rare Japanese recordings—some of which remain virtually unknown outside Japan. The author, who communicated directly with Shindo and his family, shares behind-the-scenes stories and an ultimately cancelled effort to reissue his works on CD. This is a deeply personal reflection on a forgotten figure who bridged East and West in sound.