ゴースターズ『ヘイ・ラヴァー』GHOST label (ゴースト・レーベルにつられて。幽霊は、見えないものなのか?)
幼少の頃に住んでいた家には、日常的に、
何か得体の知れないものが出現し、
少年時代の筆者は、いつも悩んでいました。
夜中に目が覚め、トイレに向かうと、
トイレの扉の正面にある台に、着物を着た
おばあさんが座っていて、筆者に気づいた、
そのおばあさんと数秒間見つめ合うものの・・・
無表情で何も言わないまま、筆者を凝視するだけなので
怖くなり、結局トイレに入れなかった・・・
別の日には、赤い鬼のようなのが、トイレの前の暗闇に
仁王立ちしていて・・・・そんなことを言う筆者の話は、
両親ですら、まともに聞いてくれません・・・
母方の祖母だけは黙って聞いてくれてましたが(苦笑)
本人は、べつに聞く人を驚かせようとしているのではなく、
本当に見えている出来事を話していただけ、なのですが、
見えるものの存在が、一体何なのかが、分からないのです・・・
そんな中、小学校の夏休みに、母方の祖母の家へ
泊りがけで遊びに行っていた頃、
テレビで「幽霊がカメラに映った!」というような
番組予告のCM(コマーシャル)が何度も流れ、
祖母は「へぇ〜」って、興味を示していたので、
筆者も番組を楽しみにしていました。
放送当日、テレビ朝日で放映の『アフタヌーンショー』の中の
特集として、幽霊が映ったという映像をこれから流すというので、
筆者は、当時人気だったドラえもんのカップヌードルを食べながら、
祖母と2人で、テレビ画面を食い入るように見つめました・・・
一体、どんなオバケが映っているのだろうか?と(笑)
昭和55年前後(記憶がはっきりしないのですが、
昭和55年か56年)の8月のことです。
撮影された時間帯は深夜とのことで、
お寺の外廊下の角?のような場所に、縦に細長く、
煙のようなものが、グニャグニャと動いているような、
多分30秒位の映像でした。
当時の撮影技術では、最高水準だったようなアナウンスが
あった気もしますが、見え方は、ほとんどモノクロで、
画質も悪く、正直な感想では「何だか、よく分からない」感じです。
それでも、何も存在しない場所に、
得体の知れない何かがうごめいている!とのことで、
番組は盛り上がっていました。
祖母も「?」というような反応でしたね(苦笑)
筆者にすれば、別に何でもない映像でした。
筆者の表現している「別の次元の何か」というのは、
次元の高低や、それが何であるか、
または目的によって違いがあるようです。
色々なものがあるので、何をもって幽霊とするのか?は、
定義がないのかも知れません。
昔のアナログ波時代のテレビ映像で、
電波の反射などから、画面にものが二重に映ったり
するようなのを「ゴースト」と言っていた時代がありますけれども、
この世では、存在があるのに「見えない」ものとして
解釈するものなのでしょうか???

アメリカのオリジナル盤で、ジャケットはもともと存在していません。
さて、この「Ghost」というレーベルのドーナツ盤、
筆者はまだインターネットが普及する前、
アメリカからエアメールで、通販カタログが送られて来る時代の、
その紙のカタログに、これを見つけて取り寄せました。
そこは当時アメリカでも老舗の中古レコード屋でしたが、
レーベルについての情報はなく、
アーティストについては「よく分かっていない」とだけ載っていました。

紙のカタログによる文字情報だけで筆者は注文した訳ですが、
「Ghost」という未知のレーベルに惹かれてしまいました。
で、届いてみれば、なんてことのないデザイン・・・
実際に聴いてみて、何故これが
「ゴースターズ (The GHOSTERS)」なのだろうか、
そして何故「Ghost」レーベルなのだろうか?を
考えてみましたけれど、ただ単に不気味な?印象だけでした(苦笑)
このアーティストについての問い合わせがあったのか、
そのアメリカの老舗中古レコード屋からの
次号の(紙の)カタログに、このアーティストについての
記事が掲載されていました。
残念ながら、当時のカタログは捨ててしまったのですが、
情報としては、現在も(ネットなどでも)発表されているのと
同等で、少ししかありません。
ゴースターズ (The GHOSTERS)は、
アメリカのミシガン州カラマズー出身のガレージ・ロック・バンドです。
活動時期は、1960年代中頃から後半にかけての
一時期だけだったと思われます。
バンドのメンバー達は、ベトナム戦争で徴兵されたものの、
仕事をしたくなかったので、上官が来ると
慌てて隠れて姿を消していたとのこと。
その体験から付けたバンド名だったそうです。
レコードは自主制作だったのでしょう。
「ゴースト」という言葉の使い方としては、
「突然いなくなる(連絡が突然途絶える)」という意味でも
使うそうなので、彼らゴースターズ (The GHOSTERS)は、
この意味で付けられたバンド名ですね。
調べてみれば、なんてことのない話で、
昔の筆者が勝手にゴースト(幽霊)の想像を
膨らませていただけの出来事だった、という次第(笑)


写真は1967年に彼らが流通させたドーナツ盤の現物です。
自主制作なので、現在となっては入手も困難でしょう。
A面の『Hey Lover』は、覚えやすいメロディーのヴォーカルです。
B面『Drums, And Then Some』は、ヴォーカルのないインストで、
途中から軽快なドラムソロへと展開されます。
失敗して録り直しをつなげているのか、それとも、
テープそのものが傷んでいるのか、2回ほど、
一瞬途切れるような箇所があります・・・筆者はどうしても、
その部分が気になるのですけれども、それ以外では、
ドラムソロが面白く楽しめる演奏です。
このドーナツ盤は、アメリカン・オールディーズ
45回転のドーナツ盤(原盤)6枚をA面B面の順で収録した巻、
『資料録音(19)』(XP-10019)にて収録させていただきました。

© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)