失われ行く音の遺産・・・東郷元帥ほかの謎ヴォイス!RCAビクター製の録音盤とその記録

誰かが、何かを吹き込んでいる音盤を色々持っていても、
その録音を上手に引き出せないのがあるんです。
これらには、本当にもどかしい思いをしているのですけれども、
装置が揃わないので、ある意味「諦め」もあります・・・
吹き込み用のレコード(録音盤)って、
過去には何種類も作られていたのですが、
この記事で御紹介するのは、アメリカのRCAビクター製のものです。
1930年頃にアメリカで発売されていた、
吹き込み用のレコード(録音盤)です。
最初から無録音の溝が刻んであり、吹き込みでは、
その溝をトレースしながら音溝を刻んで行きます。
この録音盤に吹き込むには、
同社の大型蓄音機が必要で、本体はラジオ放送も
受信できたため、ラジオの録音も出来たそうです。
筆者は、専用の針もアメリカで見つけて
取り寄せましたけれど、これを使う技術的な情報(針圧とか)が
分からず、使えていない状況です(苦笑)

ダイレクト録音するための専用の針(ニードル)。
まだ未使用状態のパッケージです。

現物は、住所を書いて送れるようになっている封筒があり、
この中に青い袋が入っています。
録音盤は、この青い袋の中に、それぞれ入っていました。

送るための住所を書く欄、切手を貼るスペース(右上)があります。

つい最近、日本のラジオ放送開始から
100年(2025年3月22日で)経つとのことで、
「ラジオ放送100年」とか言われてましたね。
上記の録音盤の発売が1930年頃とのことで、
日本では昭和5年頃になります。
当時、アメリカから、ラジオも受信できるという録音機能付きの
大型蓄音機と録音盤を輸入、または輸入されたものを
購入出来た家というのは、相当な財力がないと出来なかったと
思うのですが、いかがでしょう・・・?


「Nobu no」と書かれています。その左上に逆さまに「信」と書かれています。
筆者の手元にある、これらアメリカのRCAビクター製の
録音盤は、多分、全部同じ持ち主だと思うのですけれど、
その中の1枚に『信(Nobu no)』と書かれた男性の演説
(SP盤用の針では再生しても、よく聞き取れない)が入った
録音もあります。
「信の」という意味で、信・・・と付く、
当時の著名人の演説を想像すると、
安倍晋三 氏の祖父「岸 信介」氏を思いつきますが、
まさか・・・岸信介 氏の所有だったものでしょうか???


それと、何とか音を取り出してみたいと試みたのが、
東郷元帥と書かれている録音盤です。
東郷元帥とは、日本海軍の指揮官として
有名な「東郷平八郎」氏のことでしょう。
亡くなっているのは1934年5月30日とのことですから、
実際の生吹き込み?である可能性もありますが、
ラジオ放送での録音の可能性もあります。
SP盤用の針で再生してみましたが、よく聞き取れず、
「控訴する」とか何とか、御本人のお声だと思いますが、
しゃべっていて、他の人の声が混じっているとも思えないため、
もしラジオ放送だったとしても、
番組というより御本人の演説でしょうね。
しかも、仮にラジオ放送であっても受信状況によりますし、
これらは「ダイレクト録音」ですから、
世界で唯一の録音な訳です。
万一、御本人のダイレクト演説でしたら、もっと貴重ですが・・・



どの録音盤も、状態良く残っているものの、
劣化は進んでいるようです・・・100年近く経つことを考えると、
もうそろそろ物質的に限界かも知れませんね。
一体、何が吹き込まれていたのやら、筆者としては、
もどかしい限りなのですけれど、
そうして消えて行く音源もあるということで・・・
御紹介しておきました。
© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)
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