『荒野のアニマル』(Five Savage Men) 1970年製作、アメリカ

『荒野のアニマル』
原題:The Five Savage Men
製作:1970年
製作国:アメリカ
監督:ロン・ジョイ (Ron Joy)

主な出演者:
ミシェル・ケーリー(Michele Carey) アリス
ヘンリー・シルヴァ(Henry Silva) チャトー
キーナン・ウィン(Keenan Wynn) パッジ、他

音楽:ルパート・ホルムズ (Rupert Holmes)

本邦公開:昭和47年1月、
シネマ・スコープ(カラー)、上映時間86分

一人の囚人を乗せた駅馬車が、
アリゾナの平原を走る中、無法者たちに襲われる。
無法者たちの目当ては、駅馬車に乗っている
囚人(パッジ)を助けることだった。
応戦した末、駅馬車に乗っていた監視人たちは
殺されてしまい、乗り合わせていた
若い教師(アリス)だけは殺されなかったものの、
全裸にされ、手足を杭に縛られて大の字にさせられた。
そして集団強姦(輪姦)を受けて気を失ってしまう。
その後、アリスはインディアン(チャトー)によって助けられ・・・

という始まりに、
集団強姦を受けた若い女性教師が、
助けてもらったインディアンと共に
無法者たちに復讐する西部劇です。
最後には、偏見をもった人物によって・・・
後味の悪い、無情な結末となります。

音楽は、ルパート・ホルムズ
(Rupert Holmes 、本名は David Goldstein) という
イギリス生まれ(1947年2月24日)のアメリカ人が
担当しました。彼にとっては、初の映画音楽です。
後、1979年に『Escape (The Pina Colada Song)』
という彼の書いた曲がアメリカでヒットし、
有名になっているようです。

『荒野のアニマル』オリジナル・サウンド・トラックのLPレコード(サントラ盤)

さて、このサウンド・トラックは、
ルパート・ホルムズが後にヒットさせた「エスケープ」という
曲の元になっているようなスタイルが(全体として)
感じられます。
極端なムードの楽曲はありませんけれども、
「Judgent Day(裁きの日)」や
「Death of Chatto(チャトーの死)」等は、
ユニークなムードで面白いと思いました。
メインタイトルのインスト・バージョンは特に良かったです。

このLPレコードを聴きながら、
憎悪について考えていました。
一方的に被害を受け、怒り、「やられたから、やりかえす!」
という憎悪の連鎖です。

映画では、若い女性が集団強姦を受け、
身体も心も傷つけられたことで、
加害者には「死」をもって仕返しする訳ですが、どうでしょう。
女性の気持ちも十分に理解するものの、
強姦したのも人間です。殺された(強姦した)側の両親、
あるいは子供たちが、この女性のしたことに怒り、
復讐としてこの女性を殺そうとする・・・ 
では女性側も黙っていられるかというと、それも酷でしょう。
当事者には難しい問題です。

ただ、この世にも、あの世にも「因果律」というのは
共通にあり、プラスもマイナスも「カルマ」という形で
返って来るといいます。
現実的には、そういった事も、よく考えて、
何らかの解決法を
誰もが個別に対処して行かなければならないでしょうか・・・ 

この映画では、ブルーレイと、DVD版が発売されています。