銀座十字屋にて使われたレコードの入れ物・・・
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya2.jpg)
もう随分遠くなってしまった昭和の時代・・・
大抵の駅前商店街には「レコード屋」がありましたよね。
日曜日に家族で何処かへ行った帰りなどで、立ち寄るのも、
当時の文化の一つとしてあったように思います(笑)
子供の頃、伊勢佐木町通り、または横浜駅の地下にあった
ヨコチクというレコード屋さんで、
祖母にもらったお小遣いを手に、何度かレコードを買っています。
近所のレコード屋さんで購入することが圧倒的に
多かったですけれど、
この「レコードを買った時に、そのレコードを入れてくれる袋」
というのは、なかなか、とっておかないですよね。
紙製のお店もあったものの、大抵はビニールの袋でした・・・
昭和50年代の話ですけれど、
どっかに探せばあるかも知れません・・・でも、
この写真のものは、ちょっと古過ぎる時代のようです(笑)
これはどう見ても、
LPレコードやドーナツ盤ではなく・・・
SP盤(78回転の蓄音機でかけるレコード)のものです。
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya3.jpg)
「JUJIYA GAKKITEN」と書かれたボール紙のような袋です。
英字は左から、日本語は右から読むようになっています。
「十字屋楽器店」東京銀座3丁目とあります。私には
情報が何もないものの・・・十字屋というキーワードといえば、
レコード評論家の出谷啓 氏です(笑)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/detani1.jpg)
別の項目にします。
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/detani2.jpg)
私が持っている写真のは、昭和52年2月刊行の古いものです。
新しく出ている方を下にリンクしておきます。
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/detani3.jpg)
出谷氏の文章は、昔よく目にしてましたが、
そこに「十字屋」という単語が時折出て来ます。
大学卒業後に、京都の十字屋(レコード店)に
勤務されていたそうで、その時のお話に出て来るのでしょうね。
でも、それだけでは何もわからないので、
ネット検索してみると、銀座十字屋のホームページがありました。
銀座十字屋のホームページ
https://www.ginzajujiya.com/company/
1874年(明治7年)創業・・・
会社概要のページは充実しています。
そして、
「日本における西洋音楽のルーツとは」というPDF書類まで
公開されています。十字屋の名前の由来から、
色々な情報が記載されていて、
興味深く読ませていただきました。
今回は、この袋(当時は別の呼び名があったかも知れませんが)
のことなので、会社概要を見させていただくと、
明治40年代に「ビクターレコードと独占契約」されていたそうです。
(銀座十字屋 会社概要より引用)
ビクターレコードとの契約により、
国内販売は十字屋が一手に取り扱うことになった。
関東大震災頃まで独占的に販売、
日本のレコード総輸入量の80~90%を常に占めていた。
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya4.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya5.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya6.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya7.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya8.jpg)
とあります。
なので、この袋にはビクター・レコードのロゴと文字しか
なかったのですね(笑)
東京銀座の十字屋楽器店にてビクター・レコード(SP盤)を
購入して、この写真のレコードの袋に入れてもらった
ということでしょう。
一体、どんなSP盤をお買いになって、この袋に入って
いたのでしょうかね・・・
この袋は明治時代? それとも・・・と、
思いながら時代を進めてみると、
(銀座十字屋 会社概要より引用)
昭和5年、コロムビア、ポリドールレコードの取り扱い開始。
と書かれています。
ということは、この袋は明治40年代から昭和5年の間
の時代に使われていたという推測になります。
昭和5年以前ですか・・・古いですね(苦笑)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya9.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya10.jpg)
そこで今度は、もう一つのレコードの袋・・・
これには、ビクター (Victor)、ポリドール (Polydor)、
そしてコロムビア (Columbia) のレーベル名が
記載されていますので、
昭和5年以降のものと推測されますね。
そして、裏側、そして内側に住所の印刷された
紙が貼ってあります。
裏側と内側の住所や宛名は違うようです・・・?
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya11.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya12.jpg)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya13.jpg)
裏側の宛先は、東京市(東京都ではなく)
日本橋区の中央経済新聞社宛てになっています。
この新聞社はもう無いのでしょうか。
「東京市」は、東京府と統合されて「東京都」に
なったのが1943年(昭和18年)だそうですから、
この袋は昭和5年から、昭和18年の間辺りに
使われたことと推測されます。
こちらは袋というよりも箱なので、
通信販売みたいなスタイルだったのかも知れませんね。
内側に貼ってあるのは、埼玉県北足立郡?のような住所で、
転送でもしたのでしょうか・・・
現物から読み解ける情報は少ないものの、
昭和5年以前と、昭和18年以前に、
東京は銀座の「銀座十字屋」にて使われた
SP盤の袋(というのかな?)でした。
当時、どんなお方が、どんなSP盤を
お買いになったのか・・・当時としては、
おそらく、とんでもなく高価だったのでは?と
思いますけれど、
そんなことを想像してみるのも楽しいですね(笑)
![](https://record-music.com/wp-content/uploads/2022/03/jujiya2.jpg)
銀座十字屋にて使われたドーナツ盤の袋も御紹介しておりますので
よかったら、合わせて御覧ください。