自然のままに生きるという考えの人物(エデン・アーベ)が生み出したアルバム
どこかに定住することも、定職に就くこともなく、
裸足(場所によってはサンダル)で歩き、
自然のままに生きるという考え方を持った
ニューヨーク生まれのユダヤ人、
エデン・アーベ(1908年4月15日~1995年3月4日)
という人物がいたそうです。
1960年代のアメリカで言われていた、
世の中に反発した生き方をするような「ヒッピー」ではなく、
純粋に自らの心に従って生きる生活だったようです。
違った角度から解釈すれば、無欲で、
余分なものを一切持たず、何かを得れば
他者に分け与えてしまうような、
まるで聖人のような人物だったのかも知れません。
残されている、いくつかの写真で見る風貌は、
ヒゲも髪も伸ばし放題ですが、不潔感はなく、
(一部の人達が言っていたように)キリストみたいな感じも
確かにします。移動しながら生活するので、
生活道具は生涯にわたって、寝袋と自転車、そして
ジューサーだけだったと言われています。
孤児院へ預けられて育った彼は、
後に多少の音楽教育は受けていたらしく、
自分の少年時代を歌った「ネイチャー・ボーイ」という曲を
作詞作曲し、ナット・キング・コール本人に楽譜を渡したそうです。
ナット・キング・コールは、この曲を気に入り、
吹き込んだレコードは大ヒットしました。
エデン・アーベの元には、莫大な印税が入り続けたそうですが、
彼は生活にお金を殆ど使わず、子供が生まれても、
亡くなるまで全く変わらない生活をしていたそうです。
そんな、物凄くミステリアスな人物による、
ミステリアスなアルバムが、1960年にアメリカで発売されています。
エデン・アーベが全曲の作で、
彼が自分で作った複数の木製フルートを吹き、
インスト曲以外は歌や語りもしています。
彼独特の世界観で作り上げられた音楽の世界は、
エキゾチックなムードを醸し出し、
ミステリアスな想像を掻き立たせるような作風です。
彼という人物そのものは、上記のように
「ネイチャー・ボーイ」という曲の作詞作曲者として
有名でしたが、このアルバムはアメリカで発売された当時、
まったく売れなかったそうで、
長い間、存在も忘れ去られていた幻のLPレコードです。
ちょうど彼が亡くなった辺りで、アメリカの誰かが紹介し、
(私も探していたのですが)世界中の中古レコード屋も含めて、
コレクター達が一斉に探し始め、争奪戦になりました。
私は、まださほど探している人が多くない内に、
知人の中古レコード・ディーラーから手に入れておりますが、
コレクターの間では凄い話題になっていた作品です。
この当時のアルバムを「当時の音で」復刻させてもらったのが、
『エデンの楽園+2』(EH-673)です。
アルバムに加え、彼の別名義のドーナツ盤をこのCDには加えています。
このドーナツ盤は名義(クレジット)が本人名でなかった謎盤で、
探しても全く見つからないようなレコードでした。
これも上記アルバムと同じ頃に、
ロサンゼルスの有名ディーラーが見つけて来て、店のホームページで
自慢してましたが、それを譲ってもらったという思い出盤です(笑)