現在では「知られざる録音のレコード」を復刻したCDの商品説明を考えてみるものの

一般的に多い需要があるジャンルでもなく、
過去に人気があったとしても、
現在ではもう一部の人達しか知らないようなアーティストの
作品でも、良いものは沢山あります。

そして、私が復刻させていただいているCDにも、
それはとても多くあります・・・が、結果としては、
まったくと言っていい程に売れません(苦笑)

復刻CDの商品説明に、魅力を感じさせることが
出来ないのであれば、それは私の責任なんですけれども、
そもそも、いくら上質な作品であっても、
上記のような条件の復刻CDについて、
誰もが欲しくなるような魅力的な商品説明が出来るのであろうか?
と考えると、何だか色んな意味で
難しい部分もあると思ってしまいます。

時は1991年、まだ20歳代そこそこだった私は、
東京は高田馬場にある輸入中古のレコード屋
「メモリーレコード店」を知って通い始めました。
1950年代から60年代にかけての
ムード・ミュージック(ムード音楽)や、同時代の
サウンド・トラックが大量に取りそろえてあり、
かつての横浜近辺の中古レコード屋の在庫とは、
質も量も経験したことのない規模でした。
ただ、値段がねぇ・・・もう、ため息しかない位で(苦笑)

アーティストごとに各コーナーとして
区切られている部分もあって、
そこに私の好きな、ある楽団のコーナーもありました。
その楽団のLPレコードが、30枚位はあったでしょうか。
活動期間が長い楽団だったので、
複数のレーベルに吹き込んでいる訳ですが、
その中でも、お目当てのレーベルのLPレコードは、
そこに1枚もありませんでした。
日本で発売された日本盤での、このレーベルのLPレコードならば、
ある程度の種類と枚数が出回っているものの、私は
当時アメリカで発売されたオリジナル盤が欲しかったのです。

で、店長にそれを尋ねてみると、そのレーベルのものは
全く売れないから仕入れないというのです・・・私の他に、
もう3人くらい欲しがる人がいるのなら、仕入れてもいい
という返事でした。なので私は後に別のお店で見つけたりして
集めて行きましたが、
現在までに一般のレコード会社が復刻したCDの中には、
このレーベルの録音は見当たらず、
その前と後に契約していたレコード会社(レーベル)の
録音ばかりなのです。

ですから、私はその見かけない(希少な)録音を
復刻CDとして、いくつか作らせていただいているのですけれど、
このことを書いた所で、この復刻CDに対して
何か付加価値を感じていただけるものかどうか、
いつも悩むのです・・・(苦笑)

上記と同じように、
当時の日本でも有名だった、また別のあるアーティスト(楽団)
の録音で、多くが復刻されないのもあります。
このアーティストが多く吹き込んだレーベル(レコード会社)は、
随分前に大手のレコード会社に吸収されて消失していて、
一部は後に録音された音源の復刻CDが出ておりますが、
その吸収されたレーベルに吹き込んだ録音は無いのです・・・

実は、そのアーティストが晩年、
自身の吹き込んだマスターテープと権利を
レコード会社から少しずつ買い戻していたらしい・・・という
噂を聞いて、そういった理由なら、
そのレーベルに吹き込んだ時の録音は復刻されない訳だとガッテン!
しましたが、そんなマニアックなことを書いてもどうかな・・・
と、思いを巡らしているのです(笑)