「98.6」というアーティスト名の『サンクス・トゥ・ユー』&『98.6のテーマ』
筆者がまだ小学生だった頃に聴いていた
「お気に入りのレコード」の1枚です。
原盤は、アメリカのマーキュリー・レコード (Mercury Records) から
1976年に発売されたドーナツ盤で、
日本盤は、日本フォノグラム株式会社から、同じ年(昭和51年)に
発売されました。
筆者が手に入れたのは、1978年(昭和53年の6月頃?)なので、
発売から既に2年位経っていたようです。
中身はお気に入りなんですが、筆者にとって、
このレコードには苦い思い出が付いた、
いわくつきのレコードなんです・・・(苦笑)
ある土曜日の夕方から、筆者は母親の実家(横浜市南区)に
泊りがけで遊びに行っていて、翌日の日曜日の昼、
祖母が「せっかく孫が来てるんだから、たまには何処かへ
遊びに連れて行って、好きなものでも買ってやれ」と祖父に言っていました。
筆者は行きたくなかったのですが、そのような話の成り行きで、
祖父は自分の好きな「三溪園(中区本牧の庭園)」に筆者を連れて
行くことになりました。
祖父に「どこに行きたい?」と聞かれて、「特にない」と筆者が言ったからです。
バスを乗り継いで「三溪園」に行きましたが、
子供ですから、日本庭園に行っても何も面白くなく・・・
後ろを黙って付いて歩くだけでした(笑)
帰りのバスで、「何か買いたいものはあるか?」と聞かれ、
「レコード屋に行きたい」と答えたので、
戸塚駅(横浜市)の近くだったような気もしますが、
とにかく戸塚のどこか(降りたバス停の近く)のレコード屋に入りました。
1978年当時はディスコ・ブームで、
もう色んな曲がラジオから流れていましたけれど、
当時の筆者は、何か頭の中にあったんでしょうね。
この写真のシングル盤(ドーナツ盤)1枚を祖父に
「これが欲しい」と渡したんです。
祖父は、てっきりマンガのレコードを買うと思っていたらしく、
渡したレコードを見て「???」になってました(苦笑)
祖父が、レジでこのレコードと千円札1枚を出すと、
レジのおじさんは「お釣りがないから、600円ないですか?」
と言うのです。
定価600円ですから、千円札でのお釣りは400円なんですけど、
レコード屋をやってて、400円が無いって・・・
一体、どういう店だったのか。
祖父は財布から500円札を1枚出したものの、
小銭がなくて、ポケットを色々探りながらモタモタしてたので、
筆者がポケットから100円玉を出して、
ポン!と、500円札の上に置きました。
それで店をあとにして、祖父母の家に戻りました。
祖母は「どこに行ったの?」「何か買ってもらったか?」と聞くので、
三溪園に行ったことと、この買ったレコードを見せて、
何気なく、上記のレジの出来事を話しました・・・
そうしたら、祖母はもの凄く怒り出して、
祖父に怒鳴っていました・・・あぁ。
つまり、子供をただ三溪園に連れてっても楽しくないだろうと、
そして祖父には十分なお金があるのに、100円でも
孫にお金を出させたこと、600円のレコード1枚しか
買ってやらなかったのかと、祖母は怒っていたのです。
筆者は100円出したことに、何も思っていなかったし、
何枚も買ってもらおうとか、
高いLPレコード買ってもらおうとも思っていなかったので、
目の前で祖母が祖父に怒鳴って(お互いに耳が遠かったので、
結局、大声になる)いたのは、とても後味の悪いものでした(苦笑)
このレコードを見ると、戸塚でのレコード屋の出来事と、
その時の祖父母のことがセットで思い出してしまい、
今でも何か複雑な気持ちになるんです・・・
2階に行って、母親が若い頃に買ったセパレート・ステレオで、
これを聴いたのが最初でした。このステレオは、どこか壊れていて、
大きな音が出なかった(この後にすぐ修理してもらうのですが、
それは別の記事にて書く予定です)ものの、
もうすっかりお気に入りになり、面白くて
何度もリピートして聴きました(笑)
A面の『サンクス・トゥ・ユー (Thanks to You)』は、
かっこいいディスコ・サウンドで満足!
B面の『98.6のテーマ (98.6)』は、桶で「コーンッ!」というような、
温泉かお風呂をイメージさせる音がイントロにあり、何か不思議。
コーラスがとてもミステリアスに感じたものでした。
当時の筆者には新鮮で、とても変わっている音楽に思えました。
このレコードだけではありませんが、現物のレコードは
もう相当に何度もかけていることと、子供ですから扱いが雑で、
しばらくすると、もうボロボロな状態になってました(苦笑)
そして随分と時が経ち、何年か前から、
この『サンクス・トゥ・ユー』と『98.6のテーマ』の2曲を思い出して、
再び聴きたいと思うようになりました。
当時の盤を取り出して見てみれば、大傷だらけで、
もう、とても針を下ろせるような状態ではなく、
中古で探してみようと思いましたが・・・
これが案外、レア盤だったんですね。
オリジナル盤にしても日本盤にしても、
あまり出回っていないようです。
しかも、オリジナル盤は、ジャケット(絵柄のついた紙)も無い、
ドーナツ盤だけの状態ですが、
見つけても50ドル以上は付けられていて・・・
それにしても、
この「98.6」というアーティストについては、
よく分からないんですよ。
曲名では「98.6」というのを耳にすることがありますけれど、
それはアメリカの歌手 Keith(キース)が、1967年に
ヒットさせた曲の方で、
今回御紹介している楽曲のアーティストとは全く関係がないです。
では、この日本盤の現物のジャケット裏の解説には、
何と書いてあるのかと申しますと・・・
「98.6に関しての素性は、まったく日本に紹介されていません。」
・・・よくあること、でもあるのですが、
レコード会社から情報が提供されていなかったのでしょうか。
続きには、
「ただプロデューサーがニューファンキーサウンドのクリエーター、
ジョー・クウォーターマンとアルディンということしかわかっていない。」
とあります。これはレコード・ラベルの一番下を見れば
書いてあることですが・・・
解説部分の執筆者のクレジットは、
「全国ソウルディスコ協会 協会長 勝本謙次」
になっています。
そのような事情で、解説が付いている日本盤にも、
彼らの情報が載っている訳ではありませんでした。
アメリカのオリジナル盤は、もともと盤のみですから、
解説も何も無いですから(笑)
しかしながら、彼らのサイトを見つけましたので、まとめてみると・・・
バンド名: 98.6
結成時期: 1970年代半ば
活動地域: ワシントンD.C.エリア
音楽スタイル: オールドスクールミュージック
主な活動歴:
1974年夏、「Unity」として南部の都市でツアーを実施。
1974年12月、バージニア州ノーフォークで行われた
Kool and the Gangのコンサートで「98.6」として初披露。
その後、Roy Ayers、Ronnie Laws、Mandrill、
The Manhattansなどと共演し、コンサートやクラブでの公演を多数実施。
1976年2月13日、オリジナル曲「Thanks to You」と
「98.6」をMercuryレーベルからリリース。
以上が、彼らのサイトに出ていた情報でした。
彼らのサイトを以下にリンクしておきます。
ここで『サンクス・トゥ・ユー』と、
レミックス版『98.6のテーマ』がお聴きになれますので
御興味ありましたら、御覧ください。
© 2025 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)
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