『世界の七不思議』(Seven Wonders of The World)1956年製作、アメリカ
『世界の七不思議』(Seven Wonders of The World)
1956年製作、アメリカ映画
原案・制作:ローウェル・トーマス
監督:テイ・ガーネット
音楽:エミル・ニューマン、デヴィッド・ラスキン、ジェローム・モロス、タク・シンド、他多数
本邦公開:昭和32年3月、カラー、シネラマ・サイズ(3面)、7チャンネル・ステレオ、上映時間1時間46分
ローウェル・トーマス・シネラマ・プロダクションが、
3面スクリーンのシネラマ・シリーズとして製作した第三作です。
上映には大がかりな装置が必要だったため、
日本のスタート上映時には、東京の帝国劇場と、
大阪のOS劇場のみにて公開されました。
先にローウェル・トーマスが
書斎で「古代の七不思議」についての説明をし、
現存するひとつ、エジプトのピラミッドへと飛び出したところで
大画面の3面スクリーンへと広がり、
世界中の珍しいものを求めて
観光旅行するといった主旨の記録映画(ドキュメンタリー)です。
日本の場面では、宝塚歌劇団の音楽が
主に使われていますが、
ヘリコプターが海を渡りながら、
日本の場面となる導入部分には
アメリカで活躍した日本人音楽家タク・シンド氏の
オリジナル曲が使われています。
しかし、その部分については(当時のシネラマ・プロダクションにも
記録が残されておらず、不明だったため)
ずっと発表されずにおりました。
シネラマ・プロダクションが、楽曲詳細などの
データを記録しなかったことは、
ローウェル・トーマス自身の著書等にも記述があります。
しかしながら、そのタク・シンド氏 御本人から、
直接にいただいた楽譜や、
シネラマ・プロダクションとの契約書コピー、
当時の技術者が持っていたイギリス版の
(御本人所有の当時のテスト・テープからコピーしていただいた)
音源をもとに調査し、その楽曲を突き止めることが出来ました。
わずか1分ほどの楽曲ですけれども、
これは『ベーシック・ムード Vol.3』(EH-197) に
収録させてもらっています。
この復刻CDは、当方のみで発売している所謂
インディーズですが、音源は世界初公開です。
よって、音源化も世界初です。
過去、このことに触れた書物(音源を含む資料)は
存在していません。
唯一記載があるのは、筆者がまとめた
『レコードのムード』冊子編Vol.1(CD付き)だけです。
この映画のエンドテーマも、当時から正式な商業レコードとしては
発売されておりませんでした。
そのため、2009年に当方が制作して
一般流通に乗せた(一般のCDショップにて扱われる)
復刻CD『レコードのムード』シネラマ映画「世界の七不思議」編
に収録のものが、世界で初CD化、
そして日本では初の音源化となりました。
このタイトルのCDは、後に楽曲を6曲減らし、
オーディオパークで制作したものを
引き継いで(流通会社ブリッジを通して)発売させていただいております。
他には、
ヨセミテ公園にて映画のラストの部分から、
巨大杉の前に到着して
「The END」の文字が表示されるまで流れる楽曲も、
上記『レコードのムード』冊子編Vol.1(CD付き)に収録、
レコード・ジャケットの現物とともに御紹介しております。
この『レコードのムード』冊子編Vol.1(CD付き)には、
アメリカ映画『世界の七不思議』に関する上記のような
サントラ資料も掲載・説明しており、
その中でも、ある電機メーカーが作ったサウンド・トラック収録の
デモ・レコード(下の写真の右側)についても触れております。
この奇跡的なレコードについては、
ひとつのトラックのみ先に、当方の復刻CD
『ラジオのムード』レコード漫談 (VMDJ-6) に収録させて
いただいておりましたが、
その残り全部は、同じく当方復刻CD
『ヴィンテージ・サウンドで楽しむフィルム・ミュージック
「世界の七不思議」「タブウ」&「生きる歓び」編』(EH-777)
にて収録させていただきました。
これは、アメリカ映画『世界の七不思議』を語る上では
本当に歴史的に重要なレコードで、
録音は奇跡的とも言える作品です。
また、サントラではありませんが、
カバー演奏として、
『レコードのムード』冊子編Vol.1(CD付き)には、
2つの楽団によるメインテーマ、
そして日本庭園にて和服の女性達が日本傘を持って踊る
「ジャパニーズ・パラソルズ」が入っております。
2022年8月、本当に稀少な録音として『世界の七不思議』の
特別編を出させていただきました。
『ヴィンテージ・サウンドで楽しむフィルム・ミュージック
「世界の七不思議」&「タブウ」特別編』(DT-778)です。
これは「世界でも謎とされているレーベル」の音源でもあります、
今でこそ、インターネットがありますから、
世界的に何らかの情報を得ることも容易になりました。
しかしながら、この映画の音楽に関しては、当時から
書物等にも記載のない情報が多くあり、私としては、
これらの情報を得るために、本当に苦労しています。
日本の部分を手掛けたTak Shindo先生をはじめ、
現在となっては年齢的に、お亡くなりになっていると
思われる当事者の方達から、実際に返事をいただいて
確かめているため、
その「世界でも謎とされているレーベル」のことを
分かって御鑑賞いただくことは、
非常に有意義なことであるとも考えます。
上記、このアメリカ映画『世界の七不思議』の
オリジナル・サウンドトラックとしては、
実際にレコードとして、音源化されたものを含め
現在までに復刻させていただきましたが、
この巻でコンプリート(完結)になると思います。
映画公開当時は、本国のアメリカ人でも、
さらに日本人からしても、もうこれは考えられない程に
全く入手困難で、夢のようなレコードであったはずです。
そして、それを何と、この世で唯一のステレオ化で
お聴きいただけるよう提供させていただくことが
できました。
このCDの御試聴は、商品ページにて出来ます。