インカ帝国の「太陽の宮殿」にまつわる伝説を描いたオペラ
はるか大昔のインカ帝国時代、どんな儀式や物語があったのか、
ミステリアスなイメージを深く繰り広げられる絶品の
名作アルバム『Legend of the Sun Virgin』があります。
それはイマ・スマック演じる(キャピトル・レコードでは)3枚目の
アルバムで、1952年1月に4枚組のSP盤または、
10インチ(25センチ)LPレコードのアルバムとして、
アメリカで発表(発売)されました。日本では未発売のようです。
インカ帝国の首都クスコ以外の各拠点には、
太陽神を祀る神殿が作られているのですが、それに付随して
「太陽の処女の宮殿」というのも作られていました。
そこでは、巡察使によって、全国から選びだされた美少女を
強制的に送り込み、徹底した教育をします。
そして「太陽の処女」として、太陽神に仕える義務を
負わされるのですが、もう二度と俗界へ戻ることは許されず、
家族や友人とも会えぬまま、結婚も許されずに
永遠の処女として、宮殿内に閉じ込められます。
ここでイマ・スマックは、
その「太陽の処女」役となり、禁男の園の掟を破り、
恋をしてしまう物語を独自に描きました。
結果として彼女は、生きたまま地下深くに閉じ込められ・・・
このアルバムは、最初8曲完結として発表され、
後に30センチLPとして再発売する時、
新たに4曲追加しました。
うち2曲は途中に挿入されましたが、
2曲は最終曲の後に足されたため、物語が少しだけ延びています。
計12曲、もちろん1曲でも素晴らしいのですが、
これはストーリーになっているため、
順番に鑑賞した方が、より楽しめるアルバムなのです(笑)
夏の時期の夕方、赤くなった西日を目にすると、
遥か彼方のインカ帝国に恋した乙女の物語が
伝わってくるようで、
これを思い出すと、とても感傷的な気分になります・・・
追記:
実際に発表されているアルバムには、
「Hate」(憎悪)という曲名はないのですけれど、
このアルバムの制作途中に作られたデモ盤
(ダイレクト・カッティングのラッカー盤)が残されていました。
この録音は、実際のアルバムの中にありますので、
後に曲名を変更したということですが、
さて、どの曲でしょうか・・・?(笑)
イマ・スマックの名作アルバムを “当時のアナログ・レコードの音で”
復刻させていただきました。
ぜひ、この素晴らしいアルバムをお楽しみいただきたく思います。
(この記事は、以前のブログサイトに2018年7月に掲載していたものです)
イマ・スマックについては、この前の記事
『インカ帝国最後の国王直系の子孫「イマ・スマック」のプロセス録音』
にても御紹介しておりますので、よかったら御覧ください。