真夏の海の思い出満載!『潮風のいざない』

祖母の家に、見開きで豪華な作りの
日本盤LPレコード・アルバム『潮風のいざない』が
残されていて、小学校5年生頃の私は
それをみつけて興味を持ちました(苦笑)

波の音など、臨場感があるステレオ効果にも
驚きましたが、うまく編集された
音楽のストーリーに感激したのです。

それからというもの、すっかり愛聴盤となり、
今現在でも飽きずに聴くことが出来るほどです。
LP単体としては、これが私にとって一番古い
愛聴盤です(笑)

ところで、この作品はイギリスとアメリカ、
そして日本の順で発売されていますが、
どれもスタイルが違っているという謎を持っています。

オリジナルは、1960年にイギリスで発売された
イギリス盤ですが、当時本国では
ほとんど売れなかったと思われ、
イギリスのオリジナル盤は滅多に市場に出て来ません。

日本では昭和38年(1963年)に発売され、
かなり売れたと思われます。
ただ、この昭和38年版の方のジャケットには、
曲目のミス(誤植)があります。

昭和42年にジャケットを豪華にした復刻盤LPが
発売されていて、私が祖母の家で手にしたのは
この復刻盤の方でした。
収録内容は、どちらも同じですけれど、
イギリス盤より2曲少なくなっています。

この作品(オリジナル盤)は、3曲ずつのメドレーとして、
片面に3トラックずつ、
つまりA面とB面で合計18曲の収録があります。

その中で、

a)演奏そのものが、つながっているメドレー
b)波の音やカモメの鳴き声などでつながっているメドレー
c)演奏は一旦終了して無音になるも、その間は1秒もない程に
続けて演奏が再開される形のメドレー

があり、日本盤では上記「c」のメドレーについては
トラックを分けて、ある程度の曲間を開けていますので
とても聴きやすいです。音質も良好です。

ただし、(あまり面白くはない)2曲が削られていることと、
A面の最後の演奏が終わった部分で、海鳥の鳴き声が
入っているのですが、その途中で「ブチッ」っと切られて
しまっていることと、B面最後で演奏が終わってからの
海鳥や波の音がすぐにフェードアウト(消音)されてしまって
いる点が残念な面です。

で、イギリスと同じく1960年にアメリカで発売された
アメリカ盤はというと、音質は良いものの
A面が4トラック(7曲)、B面は2トラック(7曲)で計14曲。
オリジナル盤より4曲少なく、
しかも曲順が大きく異なっています。

A面最後の曲の収録がないため、その部分の余韻が
無いのは残念ですけれど、
B面最後の演奏が終わった時点の海鳥の鳴き声と
波の音が、オリジナル盤よりも少し長く収録されている点は
とても良くて、得した気分になります(苦笑)

そしてオリジナル盤には、曲が変わっても
すぐに再開してしまう、上記メドレーの「c」の部分、
音質の面でもイマイチな部分があります。
録音特性(音溝をカッティングする都合上で決めた周波数の割合)
は何も記載されていませんが、ひょっとしたら
RIAAではないのかも知れません。

これら良い面も悪い面もある、異なる3種類のアルバムから、
どのようにすれば、最高なものができるか、
悩みながら復刻CDを作らせていただきました。

私にとっては、子供の頃からの愛聴盤のスタイルと
同じくして、日本盤の曲と曲順で収録しています。
もちろん、最後の曲で、演奏がクライマックスになり
長い旅がとうとう終わって終演になった瞬間の
感動的な余韻・・・ は、アメリカ盤のものを
使わせていただいています(笑)

これはもう、ぜひとも、
あなた様に御鑑賞いただきたい、最高峰のアルバムです!

『潮風のいざない』(ST-372)

ジョニー・ダグラス楽団演ずる
『潮風のいざない』(ST-372)は、
広大な海のロマンを求めた、音楽による航海旅行です。

大編成ストリングス楽団の演奏は、
力強い印象で海の物語に迫り、
ロマンに満ちた
空想の冒険を楽しませてくれます。

さらに、波の音や、海鳥の鳴き声もさりげなく使い、
ムードを効果的に盛り上げる演出も、
特筆すべき、素晴らしいところです。

音楽による世界一周の旅を聴き終える頃、
最後に流れる潮風と海鳥達の鳴き声が
感動の余韻を与えてくれます。
1960年に発表されたアルバムで
絶品の内容と言えるでしょう。

お求め、御試聴は、当方の別館『懐的音館』にて出来ます。
『潮風のいざない』(ST-372)

『潮風のいざない』(ST-372)

4曲入りのコンパクト盤のレコード
日本盤のシングル・レコード