オスカー・ブラウン・ジュニア『ワークソング』『16トン』昭和38年11月
写真は1963年11月に、日本コロムビアから発売された
シングル(ドーナツ)盤です。
もともと父親が発売当時に新品で買った、このレコードが家にあり、
筆者はそれを聴いたのが最初でした。
おそらく4歳頃のことです・・・その父親の大きな
セパレート・ステレオにて、自分でかけて聴いていたものですから、
既に盤は傷だらけでボロボロになり、
後に自分で中古レコード屋から探して、買い直した現物が
写真のものという訳です。
父親は特に音楽に詳しい訳でもなく、この時はもう音楽に
関心がなくなっていたようで、私が面白がって父親のレコードを
おもちゃにしたり、聴いていても何も言いませんでした。
『ワークソング (Work Song)』の出だしの
「ブボンッ!」という音や、
最後に大きな鉄板を落とすような「ドーンッ!」という音が
不思議で、一体どうやって、こんな音を作るのかを
想像して楽しんでもいました。
庭でトタン板の上に、色んな物を落として、
大きな音を立てる遊びなんかもしてました・・・
結局「うるさいっ!」と怒られるのですが(笑)
祖父母の家に一枚だけ残っていた
SP盤(蓄音機でかける78回転のレコード)を
平らにした状態で、そのまま椅子の上
(5歳頃だったので)から垂直に
畳の上に落とすと「ズバンッ!!」という凄い音が
するのを発見して、これも随分遊びました・・・
結局、落とした時の椅子の足に
SP盤の端が触れて、割ってしまったのですが(苦笑)
その印象的で、私の子供時代でも分かりやすいメロディーの
『ワークソング』は、ナット・アダレイという
コルネット奏者が作曲したものだそうで、
1960年に発表されています。
そしてこの作曲者の兄、キャノンボール・アダレイ
(アルト・サックス奏者)の五重奏団がレコードに吹き込み、
人気曲として話題になったそうです。
この後、この写真のレコードで歌っている
オスカー・ブラウン・ジュニア (Oscar Brown,JR.) が、
歌詞を書いています。つまり自作の歌詞で歌っている訳ですね。
タイトルからすれば労働歌なんですが、
歌詞は、鎖でつながれ
重労働をさせられている囚人(チェイン・ギャング)のことだそうです。
曲の最後の「ドーンッ!」という音は、
彼らが労働で岩を割る音?・・・それとも、
働いても働いても貧しかった現実、
貧しいために犯した罪と、黒人という身分から受けた
差別の不満をぶつけた音なのか・・・???
レコードB面の『16トン』ともに、伴奏と編曲が
すごく凝っていて、これはラルフ・バーンズが担当したものだそうです。
現在聴いても、本当に素晴らしく思います。
もちろん、オスカー・ブラウン・ジュニアの歌も
素晴らしいのですが、私は演奏に魅かれて
気に入った録音でありました(笑)
このレコードの現物2作品の録音は、
『資料録音(6)』に、当時のアナログ・レコードの音として
楽しめる復刻CDにさせていただいてますので、
よかったら以下のリンクよりお求めいただけます。
また、その伴奏と編曲を担当されたラルフ・バーンズの
「1963年からアメリカのテレビ・コマーシャルとして流された
希少で貴重な録音作品」は、
復刻CD『遠いコマーシャル』(EH-713)にて、
お聴きいただくことができます。
ここでは、8商品(種類)のコマーシャルと、
それらを観賞用にまとめた大作があり、
こちらも面白い作品なので、御紹介しておきます(笑)